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高血圧

2人に1人が悩む国民病

高血圧は、日本人の死因のトップであり、多くの方が悩んでいる国民病です。高齢の方の病気のイメージがあるかもしれませんが、20歳以上の日本人のうち約2人に1人は高血圧であると言われています。高齢の方のみならず若年者にも注意が必要な病気です。自覚症状がなく、放置すると脳卒中や心筋梗塞などの重篤な病気を引き起こすリスクが高まります。

高血圧とは

高血圧と言われる基準は、日本高血圧学会で「収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の場合」とされています。これは病院や健康診断で測定した場合の基準で、自宅で測定する場合には135/85mmHgが基準値とされています。
血圧は常に変動しているので1回だけの測定で高血圧と診断することはなく、少なくとも2回以上測定しても基準値を超える場合に高血圧と診断されます。

高血圧の症状

高血圧は、「サイレントキラー」と呼ばれるように、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。しかし、進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • 頭痛
  • めまい
  • 肩こり
  • 動悸
  • 息切れ
  • 倦怠感

しかし、これらの症状は、高血圧以外にも様々な原因で起こるため、高血圧の症状だと思っていても、必ずしも高血圧とは限りません。このような症状にお心当たりがある方はお気軽に当院へご相談ください。
高血圧は、自覚症状がほとんどないことから「サイレントキラー」とも呼ばれています。しかし、長期に放置すると、脳卒中や心筋梗塞、腎不全など、命に関わる合併症を引き起こすリスクが高くなります。

高血圧の合併症

1. 脳卒中

高血圧は、脳の血管を傷つけ、脳卒中の発症リスクを高めます。脳卒中は、脳への血流が途絶えたり、脳内出血が起こったりすることで、脳の細胞が死んでしまう病気です。麻痺や言語障害、歩行障害などの後遺症が残るだけでなく、命に関わることもあります。

2. 心筋梗塞

高血圧は、心臓の筋肉に血液を供給する冠動脈を傷つけ、心筋梗塞の発症リスクを高めます。心筋梗塞は、冠動脈が狭まったり、詰まったりすることで、心臓の筋肉が十分な酸素と栄養素を供給されなくなり、死んでしまう病気です。胸痛、息切れ、動悸などの症状が現れますが、場合によっては無症状で突然倒れることもあります。

3. 腎不全

高血圧は、腎臓の血管を傷つけ、腎臓の機能を低下させることで、腎不全を引き起こすことがあります。腎不全は、老廃物や余分な水分を体外に排泄する機能が低下した状態です。むくみ、倦怠感、尿量減少などの症状が現れます。進行すると、透析治療が必要になることもあります。

4. その他の合併症

高血圧は、上記以外にも、眼底出血、大動脈解離、認知症などの合併症を引き起こすことがあります。

高血圧は、生活習慣の改善によって予防・改善することが可能です。高血圧と診断されたら、医師の指導のもと、適切な治療と生活習慣の改善に取り組みましょう。

高血圧の原因

高血圧の原因は、大きく分けて「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2つに分類されます。

1. 本態性高血圧

本態性高血圧は、原因が特定できない高血圧で、生活習慣や遺伝的要因などが関係していると考えられています。

遺伝的要因

高血圧は、遺伝の影響を受けることもあります。家族に高血圧の人がいる場合は、高血圧になりやすい傾向があります。

生活習慣
  • 塩分の過剰摂取:塩分の摂取量が多いと、体内に水分が蓄積し、血流量が増加します。これにより、血圧が上昇します。
  • 運動不足:運動不足になると、血液の循環が悪くなり、血圧が上昇します。
  • 肥満:肥満になると、体脂肪量が増加し、心臓への負担が大きくなります。これにより、血圧が上昇します。
  • ストレス:ストレスホルモンであるコルチゾールには、血圧を上昇させる作用があります。
  • 睡眠不足:睡眠不足になると、交感神経が優位になり、血圧が上昇します。
  • 過度な飲酒:アルコールの過剰摂取は、血圧を上昇させるだけでなく、利尿作用によって脱水症状を起こし、さらに血圧を上昇させる可能性があります。
  • 喫煙:喫煙は、血管を収縮させ、血圧を上昇させるだけでなく、動脈硬化を進行させる原因にもなります。

2. 二次性高血圧

二次性高血圧は、他の病気(腎臓病、甲状腺機能亢進症、睡眠時無呼吸症候群など)が原因で起こる高血圧です。

二次性高血圧の原因となる主な病気
  • 腎臓病:腎臓の機能が低下すると、ナトリウムや水分を排泄できなくなり、血圧が上昇します。
  • 甲状腺機能亢進症:甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、心拍数や代謝が上がり、血圧が上昇します。
  • 睡眠時無呼吸症候群:睡眠中に呼吸が止まる病気で、低酸素状態になると、血圧が上昇します。
  • 副腎皮質腫瘍:副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されると、血圧が上昇します。
  • 大動脈狭窄:大動脈が狭窄すると、心臓から送り出される血液の流れが阻害され、血圧が上昇します。

二次性高血圧は、原因となる病気を治療することで、血圧を下げることができます。
高血圧の原因は、複合的に絡み合っていることが多いため、個人の生活習慣や体質などを考慮した上で、医師に相談することが大切です。

高血圧の種類

高血圧は、進行度や合併症の有無によって、以下のように分類されます。

  • 軽度高血圧:診察室血圧が130~139mmHg/85~89mmHg
  • 中等度高血圧:診察室血圧が140~159mmHg/90~99mmHg
  • 重症高血圧:診察室血圧が160mmHg以上/100mmHg以上
  • 高血圧性腎症:高血圧が原因で腎臓の機能が低下した状態
  • 高血圧性心肥大:高血圧が原因で心臓が肥大化した状態

高血圧と診断されたらまず取り組むべきこと

  1. 医療機関受診
    高血圧を指摘されたら内科を受診し、専門家に相談する必要があります。大家庭での血圧測定もおこないましょう。症状がないから大丈夫という油断は禁物です。
  2. 塩の摂取量を減らすー食塩の摂取量を減らす「減塩」が大切です。1日の食塩摂取量を6g未満にしましょう。
    日本人は醤油や味噌・漬物などの食塩含有量の多い調味料・食材等を摂取することも多いため平均食塩摂取量は10.1gと高くなっています。
    そんなに食塩を摂取している自覚がなくても6g以上摂取してしまっている方がほとんどなので、意識して減塩に取り組む必要があります。
  3. 適度な運動と十分な睡眠―運動は血圧を下げるのに効果的です。運動習慣のない方は特に有酸素運動をおこなう習慣をつけましょう。1回あたり10分以上の運動を1日合計40分以上おこなってみましょう。いきなり毎日長時間の運動は難しいかもしれませんが、少しずつ継続しておこなっていくことが大事です。また、睡眠不足や睡眠障害は高血圧発症のリスクになります。睡眠不足は自律神経やホルモンバランスの乱れを引き起こすので十分な睡眠をとることも重要です。睡眠時無呼吸症候群を指摘されている方は治療をおこないましょう。「いびき」を指摘されている方は睡眠時無呼吸症候群かもしれません。当院でも検査ができます。
  4. 禁煙するー喫煙は、高血圧発症のリスクを高め、血圧を上昇させることが多くの研究で明らかにされています。ある研究では、喫煙を継続している高血圧患者が禁煙すると、血圧が平均5mmHg低下することが示されています。別の研究では、喫煙をやめた高血圧患者は、喫煙を継続している患者と比べて、心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクが約半分になることが示されています。禁煙は、高血圧の治療と予防に非常に効果的な方法です。高血圧にお悩みの方は、禁煙を強くおすすめします。当院では禁煙外来も行っております。
  5. 節酒するーアルコールの少量摂取は血圧低下を起こすこともありますが、長期の飲酒は高血圧の原因にもなります。飲酒習慣のある方は、摂取量や飲酒する日を減らすようにしましょう。(1日の飲酒量は日本酒なら1合以下、ビールなら中瓶1本以下、ワインなら2杯以下にとどめましょう)
  6. 適正体重を維持するー減量をおこない、適正体重にすることも高血圧改善のために重要です。肥満の方は体重減少に取り組みましょう。BMI:体重(kg)÷身長(m)の2乗が25以上の場合は肥満で、高血圧発症リスクもBMI20未満の方と比較して1.5~2.5倍程度は高くなると言われています。BMI25未満を目標に減量に取り組んでください。ダイエットがうまくいかないという方は、当院ではメディカルダイエット(自費)のおくすりのご用意がございます。当院ではオンライン販売も行っております。

高血圧の治療法

高血圧の治療法は、大きく分けて「生活習慣の改善」と「薬物療法」の2つがあります。
高血圧の方は、基本的には月に1度の来院、約3~4ヶ月に1回の採血によるフォローをおすすめします。

  • 生活習慣の改善:減塩、適度な運動、禁煙、節酒、減量など
  • 薬物療法:生活習慣の改善だけでは血圧が十分に下がらない場合や、合併症がある場合などに用いられます。

薬物療法においては、生活習慣によって様々な原因と様々な薬があります。当院では経験豊富な医師と管理栄養士が連携を取りながら、栄養指導も行い生活習慣の改善をサポートしたうえで、多くの種類の中からその人の状態に合わせた薬を処方し、ライフスタイルに合わせた治療を進めます。降圧剤を飲み始めると一生薬を飲み続けなければいけないのではないかとご心配になる方もいらっしゃいますが、内服は生活習慣が改善され血圧が十分に下がってくれば量を減らし中止出来る場合もあります。

高血圧は、早期発見・早期治療が重要です。 健康診断で高血圧を指摘されたり、気になる症状がある場合は、早めご相談ください。

高血圧のよくある質問

Q高血圧の薬はいつから飲み始めますか?

A 生活習慣の改善だけで血圧が十分に下がらない場合や、合併症がある場合などは、薬物療法が必要となります。

薬をいつから飲み始めるかは、医師の判断によって異なります。診察室血圧や家庭血圧、年齢、合併症の有無などを総合的に考慮して判断します。

Q高血圧の薬を飲み続けなければいけないのですか?

A高血圧の薬は、血圧を下げるだけでなく、合併症の予防にも効果があります。そのため、医師の指示のもと、継続的に服用することが重要です。

自己判断で服薬を中止したり、増減したりすることは、絶対に避けてください。

Q高血圧は完治するのですか?

A高血圧は、生活習慣の改善と薬物療法によって、血圧を正常な範囲にコントロールすることができます。しかし、完治することは難しいと考えられています。

高血圧は、生活習慣病の代表的な病気であり、多くの方が一生付き合っていく病気です。定期的な検診と治療を続け、血圧をコントロールすることが大切です。

Q高血圧の食事療法について教えてください。

高血圧の食事療法は、減塩を中心に、カリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラルを積極的に摂取することが重要です。当院では定期的に栄養指導の枠も設けておりますのでお気軽にご相談ください。

具体的な食事療法のポイント
  • 減塩:1日6.5g未満を目標に、塩分の摂取量を減らしましょう。
  • カリウム:カリウムには利尿作用があり、血圧を下げる効果があります。バナナ、アボカド、ほうれん草などの食品に多く含まれています。
  • カルシウム・マグネシウム:カルシウムとマグネシウムには、血管を拡張する効果があります。乳製品、小魚、ナッツ類などの食品に多く含まれています。
  • 野菜・果物:野菜や果物には、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれており、血圧を下げる効果があります。
  • 魚介類:魚介類には、EPAやDHAなどの不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、血圧を下げる効果があります。
  • 脂肪分:飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量を控え、不飽和脂肪酸を積極的に摂取しましょう。

食事療法は、個人の体質や生活習慣に合わせて、医師や栄養士と相談しながら行うことが大切です。

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