腎臓病
腎臓病とは?
腎臓は、体内の老廃物や余分な水分を尿として排泄する、とても重要な臓器です。腎臓病とは、この腎臓が何らかの原因でうまく働かなくなってしまう病気の総称です。腎臓がうまく働かなくなると、体内に老廃物が溜まり、様々な症状が現れます。
腎臓病の診断基準
eGFRについて
eGFRは、腎臓のはたらきを示す数値として広く使われています。eGFR:90 mL/分/1.73 m2以上が「正常または高値」とされており、数字が小さければ小さいほど腎臓のはたらきが悪くなっていることを表します。eGFR:60 mL/分/1.73 m2未満が続くと「慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)」と診断されますし、おおまかな目安としてeGFR:10 mL/分/1.73 m2未満になると、透析や腎臓移植などの治療が必要になってまいります。(参考:新たな国民病「慢性腎臓病」をご存知ですか?)。
腎臓病では、eGFR:15 mL/分/1.73 m2未満など、かなり腎臓のはたらきが低下しないと症状が出ないことが多いです。そのため、eGFRを測定してはじめて腎臓のはたらきが悪くなっていることがわかってびっくりする、ということもよくあります。
「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」では、年齢にかかわらずeGFR:45 mL/分/1.73 m2未満の方では専門医を受診することを考慮するとされています。
腎臓病の症状
腎臓病の初期には、自覚症状がないことが多く、気付かないうちに病気が進行してしまうことがあります。しかし、病気が進むにつれて、以下の様な症状が現れることがあります。
- むくみ: 足や顔などがむくむ
- だるさ: 全身のだるさや疲れやすさ
- 尿の変化: 尿の色が変わる、尿が出にくい、夜中に何度もトイレに起きるなど
- 高血圧: 血圧が高くなる
- 貧血: 赤血球が減少し、貧血になる
- かゆみ: 全身がかゆくなる
- 食欲不振
- 吐き気
腎臓病の原因
腎臓病の原因は、様々です。主な原因としては、以下のものが挙げられます。
- 糖尿病: 糖尿病は、腎臓病の一番の原因として知られています。
- 高血圧: 高血圧も、腎臓病を悪化させる要因となります。
- 腎炎: 腎臓に炎症が起こる病気です。
- 多発性嚢胞腎: 腎臓に多くの袋状のものができ、徐々に腎機能が低下していく病気です。
- 尿路結石: 尿路に結石ができ、尿の流れを妨げることで腎臓に負担がかかり、腎臓病になることがあります。
腎臓病の種類
腎臓病には、様々な種類があります。代表的なものとしては、以下のものが挙げられます。
- 慢性腎臓病: 長期間にわたってゆっくりと腎機能が低下していく病気です。
- 急性腎不全: 短期間に急速に腎機能が低下する病気です。
- ネフローゼ症候群: 腎臓から大量のたんぱく質が尿中に漏れてしまう病気です。
腎臓病の治療法
腎臓病の治療法は、原因や病気の進行度によって異なります。
- 原因となる病気の治療: 糖尿病や高血圧などの原因となる病気の治療が重要です。
- 薬物療法: 血圧を下げる薬、利尿剤、貧血を改善する薬など、様々な薬物治療を行います。
- 食事療法: タンパク質や塩分の摂取を制限するなど、食事療法も大切です。
- 透析療法: 腎臓の働きが悪くなり、人工的に血液を浄化する治療が必要になる場合があります。
- 腎移植: 腎臓の機能が完全に失われた場合、腎臓移植を行うことがあります。
腎臓病と日常生活
腎臓病は、日常生活に大きな影響を与えることがあります。しかし、適切な治療を受け、食事や生活習慣に注意することで、症状をコントロールし、快適な生活を送ることができます。
- 食事: 医師や栄養士の指導のもと、バランスの取れた食事を心がけましょう。
- 水分: 医師の指示に従い、適切な量の水分を摂取しましょう。
- 運動: 医師に相談の上、無理のない範囲で運動を行いましょう。
- 定期的な検査: 定期的に医師に診てもらいましょう。
まとめ
腎臓病は、初期には自覚症状がないことが多いため、定期的な健康診断を受けることが大切です。もし、腎臓病と診断された場合は、医師の指示に従い、治療を続けましょう。