胃腸炎:原因、症状、治療法を分かりやすく解説
はじめに
胃腸炎は、胃や腸の粘膜に炎症が起こる病気です。多くはウイルスや細菌などの感染によって引き起こされますが、食中毒や薬の副作用、ストレスなども原因となることがあります。
胃腸炎の症状
胃腸炎の主な症状は、下痢、嘔吐、腹痛、悪心などです。発熱や頭痛、筋肉痛などの症状が現れることもあります。症状の程度や持続期間は、原因や個人差によって異なりますが、一般的には数日から1週間程度で治まります。
胃腸炎の原因
胃腸炎の原因は様々ですが、主に以下のものがあります。
ウイルス
ウイルス性胃腸炎は、主にノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスの3つが原因とされています。
ノロウイルス
ノロウイルスは秋から冬にかけて感染が爆発的に流行し、強い嘔吐・下痢症状を引き起こしますが、比較的早期に治癒されることが多いです。
ロタウイルス
ロタウイルスは高い発熱を伴い、下痢が長引くことがあります。
アデノウイルス
アデノウイルスは下痢が主な症状で、脱水症状はあまり重くありませんが、胃腸の症状以外に喉の痛みや高熱、結膜炎などの症状が現れることがあります。
- 細菌: 細菌性腸炎は、病原性大腸菌、サルモネラ菌、ウエルシュ菌などが原因となります。症状は主に腹痛、下痢、血便などの下腹部症状です。寄生虫: アメーバ、ランブル鞭毛虫などが代表的な寄生虫です。
- 食中毒: 食中毒菌に汚染された食品を摂取することで起こります。
- 薬: 抗生物質などの薬の副作用で起こることもあります。
- ストレス: 強いストレスが原因で胃腸の調子が悪くなり、胃腸炎を引き起こすことがあります。
胃腸炎の種類
胃腸炎は、原因によって以下のように分類されます。
- ウイルス性胃腸炎: ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが原因で起こります。冬場に流行することが多く、「冬嘔吐病」や「乳幼児急性下痢症」などとも呼ばれます。
- 細菌性胃腸炎: サルモネラ菌、カンピロバクター菌、大腸菌などが原因で起こります。夏場に流行することが多く、「食中毒」などとも呼ばれます。
- 寄生虫性胃腸炎: アメーバ、ランブル鞭毛虫などが原因で起こります。海外旅行などで感染することが多いです。
- その他: 食中毒、薬の副作用、ストレスなどが原因で起こる胃腸炎も含まれます。
ウイルスや細菌が原因でおこる胃腸炎を感染性胃腸炎といいます。突然の嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状を起こします。原因になる微生物は、細菌、ウイルス、原虫、寄生虫、真菌などさまざまです。感染性胃腸炎の中でもっとも多いのは、ウイルスにより起こるウイルス性胃腸炎と、細菌によって起こる細菌性の腸炎です。
感染性胃腸炎の感染経路
感染性胃腸炎の感染経路はおもに2つ。感染者から感染を広げる「接触感染」(人から人への感染)と、病原体が汚染した食物などを口に入れることで感染する「経口感染」(食べ物から人への感染)です。
接触感染は看護者が罹患者の下痢や嘔吐物などの処理を行う際に手指に付着したり、消毒が不十分だったりした場合、また乾燥してほこりなどと一緒に吸い込まれることに寄って感染が広がります。
経口感染は、ウイルスや細菌に汚染された食物を適切に加熱処理しなかった場合や、感染者が調理した食品を食べたりした場合などがあります。同様に、汚染された水を摂取することも感染の原因となります。
潜伏期間や症状がある期間
感染性胃腸炎の潜伏期間は、ウイルスや病原体によって異なります。
ノロウイルス | 24時間~48時間で激しい症状が起きる |
---|---|
ロタウイルス | 1~3日 |
腸管出血性大腸菌 | 5時間~72時間以内/td> |
サルモネラ菌 | 1日~3日程度 |
腸炎ビブリオ | 10時間~24時間以内 |
症状がある期間は発症後おおよそ数日から1週間程度です。一部の感染性胃腸炎、特にウイルス性の場合、急激に症状が現れることがあります。また、これらの期間は一般的な目安であり、個々の体調や症状、病原体の特性によって異なることがあります。
胃腸炎の治療法
胃腸炎の治療法は、原因によって異なりますが、基本的には対症療法となります。
- ウイルス性胃腸炎: 特別な治療法はなく、水分と電解質の補給、安静が大切です。
- 細菌性胃腸炎: 抗菌薬が処方されることがあります。
- 寄生虫性胃腸炎: 駆虫薬が処方されます。
- その他: 原因となった食中毒菌や薬を取り除き、対症療法を行います。
胃腸炎の治療においては、個々の症状や体力状態に合わせて対応する必要があります。自己判断で抗生物質を使用することは避け、医師の指示に従って治療を行うようにしましょう。
胃腸炎の予防
胃腸炎を予防するには、以下の点に注意することが大切です。
- 手洗い: 食事の前後、トイレの後には必ず手を洗いましょう。
- 食品の衛生管理: 食品は十分に加熱してから食べるようにしましょう。調理器具や食器も清潔に保ちましょう。
おわりに
胃腸炎は、日常生活に支障をきたす厄介な病気です。しかし、原因や症状、治療法を理解し、予防対策をしっかりと行うことで、発症リスクを減らすことができます。もし、胃腸炎の症状が出たら、早めに医療機関を受診しましょう。