痛風:風が吹いても痛い!? 足の親指が真っ赤に腫れ上がる病気
痛風とは
痛風は、ある日突然足の親指のつけ根などが痛くなり、赤く腫れ上がってしまう病気です。
男性に多いですが女性にも起こります。
また、だれもが平等に痛風発作を起こすわけではありません。
生活習慣がたたって、尿酸値が徐々に高くなり(高尿酸血症)、いくつかの条件が重なることで突然痛風発作が起こります。
痛みが出る場所は
- 親指の付け根(最も多い)
- 足の甲
- 足首
- ひざ
- かかと
- 肘(ひじ)
などです。
痛風の症状
痛風発作は突然起こることもあり、多くの人が夜中に襲われます。発作の主な症状は次のとおりです。
- 激しい関節痛: 足の親指の付け根が特に痛くなりますが、足首、膝、手首なども痛むことがあります。
- 腫れ: 関節が赤く腫れ、熱っぽくなります。
- 動悸: 激しい痛みのため、動悸や息切れを感じることがあります。
- 発熱: 低体温になる場合もありますが、発熱することもあります。
これらの症状は数時間から数日で治まりますが、放置すると再発を繰り返すようになり、関節の変形や機能障害を引き起こす可能性があります。
原因
痛風発作の直接的な原因は、高尿酸値血症(尿酸値の上昇)です。尿酸はプリン体と呼ばれる物質が体内で分解されて生成されます。プリン体は、肉類、魚介類、内臓、ビール、清涼飲料などに多く含まれています。
尿酸値が上昇する主な原因は以下のとおりです。
- プリン体の過剰摂取: 上記のような食品を多く摂取することで、尿酸値が上昇します。
- 肥満: 肥満は尿酸の生成を促進し、排泄を阻害するため、尿酸値が上昇しやすくなります。
- アルコール摂取: アルコールは尿酸の排泄を阻害するため、尿酸値が上昇しやすくなります。
- 遺伝: 痛風は遺伝的な要素も影響します。家族に痛風の人がいる場合は、発症リスクが高くなります。
- 薬剤: 利尿薬、低用量アスピリン、サイクロスポリンなどの薬剤は、尿酸値を上昇させる可能性があります。
- 腎臓機能障害: 腎臓は尿酸を排泄する役割を担っています。腎臓機能が低下すると、尿酸値が上昇しやすくなります。
高尿酸血症とは
高尿酸値血症とは、尿酸値が高い状態が続いていることです。
健康診断の採血ではかる一般的な項目で、尿酸(UA)というものです。
尿酸値(UA) 7.0 mg/dL以上 で高尿酸血症の診断となります。
7.0⇨8.0⇨9.0⇨10.0と数値があがるにつれ、痛風発作を起こす確率もあがります。
イメージがつきにくい方は、尿酸値に「30」をたして、それが体温だと思ってみましょう。
(たとえば、尿酸値9.0mg/dLの方は、30をたすと、39。体温が39度あったら誰しもまずい、と感じられるかと思います。)
高尿酸血症は無症状です。
痛風発作や健康診断がきっかけで採血をしない限り、気づかれませんので注意が必要です。
また、高尿酸血症を放置すると、痛風発作のリスクがあがるだけでなく、動脈硬化がすすむ原因にもなります。
一般的に飲み薬が有効です(からだの中で尿酸を作られづらくする薬や排せつをうながす薬があります)。
健診でひっかかったら、医師にご相談ください。
痛風の種類
痛風は大きく2種類に分類されます。
- 原発性痛風: 遺伝的要因や生活習慣などが原因で起こる痛風です。
- 続発性痛風: 腎臓機能障害、高血圧、脂質異常症などの他の病気によって起こる痛風です。
痛風の治療法
痛風の治療には、以下の2つの方法があります。
- 発作の治療: 発作が起こった際には、痛みや炎症を抑える薬を服用します。
- 高尿酸血症の治療: 尿酸値を下げる薬を服用することで、再発を予防します。
生活習慣の改善
痛風を予防・改善するためには、以下の生活習慣の改善が重要です。
- プリン体の摂取制限: 肉類、魚介類、内臓、ビール、清涼飲料などのプリン体の摂取を控えます。
- 肥満解消: 適度な運動と食事療法で体重を減らします。
- アルコール摂取制限: アルコールの量を控えます。
- 水分摂取: 水分を十分に摂取することで、尿酸の排泄を促進します。
- 薬の服用: 服用指示に従って、高尿酸血症治療薬を服用します。
痛風の方は、基本的には月に1度の来院、約3~4ヶ月に1回の採血によるフォローをおすすめします。
当院では経験豊富な医師と管理栄養士が連携を取りながら、栄養指導も行い生活習慣の改善をサポートしたうえで、多くの種類の中からその人の状態に合わせた薬を処方し、ライフスタイルに合わせた治療を進めます。
痛風のよくある質問
Q痛風発作は、夜中に起こることが多いですか?
A 痛風発作は、夜中に起こることが多いという特徴があります。その理由は、主に以下の3つが考えられます。
- 体温の低下: 夜間は体温が低下するため、尿酸の溶解度が低くなり、尿酸結晶が析出しやすくなります。
- 水分量の減少: 夜間は水分摂取量が減るため、尿量も減少します。尿量が少ないと、尿酸が体内に蓄積されやすくなります。
- アルコール代謝: アルコールを摂取すると、尿酸の産生量が増加し、排泄量が減少します。特に、寝る前にアルコールを摂取すると、夜間に痛風発作が起こりやすくなります。
ただし、必ずしも夜中に起こるわけではありません。日中にも発作が起こることはあります。
Q痛風発作は、どのような状況で起こりやすいですか?
A痛風発作は、以下の状況で起こりやすいと言われています。
- プリン体の過剰摂取: 肉類、魚介類、内臓、ビール、清涼飲料など、プリン体の多い食品を過剰摂取すると、尿酸値が急上昇し、発作が起こりやすくなります。
- アルコール摂取: アルコールは尿酸の産生量を増やし、排泄量を減少させるため、発作が起こりやすくなります。
- 脱水: 水分不足になると、尿量も減少します。尿量が少ないと、尿酸が体内に蓄積されやすくなり、発作が起こりやすくなります。
- ストレス: ストレスは、尿酸の産生量を増やし、排泄量を減少させるため、発作が起こりやすくなります。
- 疲労: 疲労は、尿酸の排泄を妨げるため、発作が起こりやすくなります。
- 気温の変化: 気温が急激に変化すると、体温調節機能が乱れ、尿酸の溶解度が変化するため、発作が起こりやすくなります。
上記以外にも、様々な状況で痛風発作は起こり得ます。 自分の発作パターンを把握しておくことが大切です。
Q痛風の治療は、日常生活にどのような影響がありますか?
A痛風治療は、日常生活に大きな影響を与えることはありません。ただし、以下のような点に注意する必要があります。
- 薬の服用: 毎日決まった時間に薬を服用する必要があります。
- 定期的な検査: 定期的に尿酸値を測定し、治療効果を確認する必要があります。
- 食事療法: プリン体の摂取を控えるなど、食事療法を行う必要があります。
- 適度な運動: 適度な運動をすることで、尿酸値を下げ、肥満を予防することができます。
- ストレス管理: ストレスを溜めないように、心身をリラックスさせることが大切です。
痛風は、自己管理が重要な病気です。 医師の指示に従って、適切な治療と生活習慣を継続することで、病気をコントロールすることができます。