男性更年期外来
男性更年期障害とは?
近年、男性の間でも更年期障害が注目されています。 更年期障害といえば、女性特有の病気と思われがちですが、実は男性にも起こるのです。
男性更年期障害は、加齢とともに男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が減少することによって起こる病気です。テストステロンは、筋肉や骨の維持、性機能の維持、精神の安定などに重要な役割を果たしています。
テストステロンの分泌量が減少すると、これらの機能が低下し、様々な症状が現れるようになります。
男性更年期障害の症状
男性更年期障害の症状は、人によって様々ですが、主な症状は以下の通りです。
身体症状
- 疲労感
- 倦怠感
- 筋肉痛
- 関節痛
- ほてり
- 発汗
- 不眠
- 頻尿
- 勃起障害
- 呼吸困難
精神症状
- イライラ
- 集中力低下
- 抑うつ
- 不安
- 無気力
これらの症状は、日常生活に支障をきたすこともあります。
男性更年期障害の重症の症状
症状に対する治療が必要となる疾患があらわれる可能性があります。
男性更年期【チェックリスト】
このチェックリストは、国際的にもしられる男性更年期を評価する自己チェック項目(AMS:Aging Males'Symptoms)です。
各項目を1〜5点の5段階で自己評価をおこない、合計点をだして判定してください。
なし | 軽い | 中程度 | 重い | 非常に重い | |
---|---|---|---|---|---|
総合的に調子が思わしくない | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
関節や筋肉の痛み | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
ひどい発汗 | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
睡眠の悩み | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
よく眠くなる、しばしば疲れを感じる | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
イライラする | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
神経質になった | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
不安感 | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
からだの疲労や行動力の減退 | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
筋力の低下 | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
憂うつな気分 | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
「人生の絶頂期は過ぎた」と感じる | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
力尽きた、どん底にいると感じる | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
ひげの伸びが遅くなった | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
性的能力の衰え | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
早期勃起(朝立ち)の回数の減少 | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
性欲の低下 | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 |
合計点数 | 26点以下 | 27~36点 | 37~49点 | 50点以上 |
---|---|---|---|---|
症状の程度 | なし | 軽度 | 中程度 | 重度 |
男性更年期障害の原因
男性更年期障害の原因は、加齢によるテストステロンの分泌量の減少です。
テストステロンの分泌量は、20歳代をピークに、40歳頃から徐々に減少していきます。
加齢以外にも、肥満、運動不足、ストレス、睡眠不足なども、テストステロンの分泌量を減少させる要因となります。
男性更年期障害が起こりやすい年齢
男性更年期障害は、何歳からはじまって何歳までつづくのか、その年齢が気になる人もいるでしょう。
一般的にテストステロンの分泌は20歳代をピークに、加齢とともに低下していきます。
それに加えて運動習慣がへったり、家庭や仕事でのストレスが増えてくる時期である50〜60歳ごろから始まることが多いとされています。
しかしながら、前述のとおりストレスや生活習慣によっては、もっと若年から始まることも考えらえます。
加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の変化
男性更年期障害の検査方法
当院で行っているのは下記の通りです。
- 問診や身体診察
- ホルモン値を直接測定できる血液検査(1週間ほどで結果が出ます。)
男性更年期障害の病気の種類
男性更年期障害は、病気というよりは、加齢に伴う一連の症状の総称です。
しかし、症状が重症化すると、うつ病 や メタボリックシンドローム などの別の病気を引き起こすこともあります。
男性更年期障害の治療法
男性更年期障害の治療法は、症状や生活習慣によって異なります。
主な治療法は以下の通りです。
生活習慣の改善
- 規則正しい生活習慣を送る
- 適度な運動をする
- バランスの良い食事を摂る
- ストレスを溜めない
- 十分な睡眠をとる
ホルモン補充療法
テストステロン製剤を補充する
漢方薬
体質に合った漢方薬を服用する
心理療法
ストレスや不安に対処するためのカウンセリングを行う
いずれの治療法も、医師と相談しながら行うことが大切です。
当院では、男性更年期障害と診断された場合は保険適応で注射でのホルモン療法や漢方薬の処方が可能です。また、自費診療ではED薬やAGA薬の販売もございます。(当院ではオンライン販売も行っております。)
まとめ
男性更年期障害は、誰にでも起こる可能性があります。
症状に心当たりがある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
男性更年期障害は、適切な治療によって改善することができます。
一人で悩まず、積極的に治療に取り組むことで、健康的な生活を送ることができます。
男性更年期障害のよくある質問
Qホルモン補充療法について詳しく教えてください。
Aホルモン補充療法は、男性更年期障害の主な治療法の一つです。
この療法は、テストステロン製剤を補充することで、テストステロンの分泌量を増加させ、症状を改善することを目的としています。
テストステロン製剤の種類
テストステロン製剤には、注射剤、貼り薬、ジェル剤、口腔内崩壊錠などの種類があります。当院では注射剤のみ取り扱いがございます
- 注射剤:3週間に1回程度、上腕またはお尻の筋肉に注射します。効果が持続するのが長く、最も一般的な方法です。(当院で行っております。)
- 貼り薬:毎日、太ももや腹部に貼ります。効果が持続するのが比較的短く、皮膚の刺激などの副作用が出る場合があります。
- ジェル剤:毎日、肩や腕などの皮膚に塗ります。効果が持続するのが比較的短く、塗布部位のベタつきなどの副作用が出る場合があります。
- 口腔内崩壊錠:毎日、舌下で溶かして飲みます。効果が持続するのが比較的短く、口腔内の刺激などの副作用が出る場合があります。
ホルモン補充療法の効果
ホルモン補充療法の効果は、個人差がありますが、一般的には以下の症状の改善が期待できます。
- 疲労感
- 倦怠感
- 筋肉痛
- 関節痛
- ほてり
- 発汗
- 不眠
- 勃起障害
- 骨密度低下
- 精神症状(イライラ、集中力低下、抑うつなど)
ホルモン補充療法の副作用
ホルモン補充療法には、以下のような副作用があることが報告されています。
- 注射部位の痛みや腫れ
- ニキビ
- 多毛
- 前立腺肥大
- 肝機能障害
- 睡眠時無呼吸症候群の悪化
これらの副作用は、必ずしも全員に起こるわけではありません。また、副作用が起こった場合でも、適切な対応によって改善できる場合もあります。
ホルモン補充療法を受ける際の注意点
ホルモン補充療法を受ける際には、以下の点に注意する必要があります。
前立腺癌 や 重度の肝機能障害 など、ホルモン補充療法を受けることができない病気がないことを確認する必要があります。
睡眠時無呼吸症候群 の既往歴がある場合は、治療を受ける前に検査を受ける必要があります。
ホルモン補充療法は、長期にわたって継続する必要があるため、定期的な検査を受けながら、効果や副作用を慎重に評価する必要があります。
Q男性更年期障害と診断された場合、生活習慣はどのようなことに気をつければよいでしょうか?
A生活習慣の改善は、テストステロンの分泌量を自然に増やし、症状を緩和する効果が期待できます。
具体的には、以下の点に注意しましょう。
1. 規則正しい生活習慣を送る
毎日決まった時間に寝起きし、朝日を浴びるようにしましょう。
適度な運動を毎日行い、体を動かす習慣をつけましょう。
十分な睡眠時間を確保し、質の高い睡眠をとるようにしましょう。
ストレスを溜めないように、リラックスできる時間を作るようにしましょう。
2. バランスの良い食事を摂る
野菜、果物、魚、大豆製品などを積極的に摂取しましょう。
肉類は脂肪分の少ないものを選び、食べ過ぎないようにしましょう。
加工食品やインスタント食品は控え、できるだけ手作りのお弁当を持参しましょう。
アルコールの飲み過ぎは避け、適度な量にとどめましょう。
3. 運動を習慣化する
ウォーキング、ジョギング、水泳など、有酸素運動を週に3~5回、30分以上行いましょう。
筋トレやストレッチを取り入れ、筋肉量を増やすようにしましょう。
運動が苦手な場合は、軽いストレッチや散歩から始めてみましょう。
4. ストレスを溜めない
趣味や音楽鑑賞など、自分がリラックスできる時間を作るようにしましょう。
仕事や家事など、ストレスを感じやすい状況をできるだけ減らすようにしましょう。
必要であれば、カウンセリングやセラピーを受けるのも有効です。
5. 十分な睡眠をとる
毎日7~8時間の睡眠時間を確保しましょう。
寝る前のスマホやパソコンの使用は控え、寝る前はリラックスできる環境を整えましょう。
寝室の環境を整え、暗くて静かな空間を作るようにしましょう。
生活習慣の改善は、すぐに効果が出るわけではありません。
しかし、継続することで、徐々に症状が改善していくことが期待できます。
また、生活習慣の改善は、男性更年期障害以外にも、様々な健康上のメリットがあります。
そのため、男性更年期障害でなくても、日頃から健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
Q男性更年期障害は、いつ頃治りますか?
A性更年期障害は、自然には治らない病気です。
しかし、適切な治療や生活習慣の改善によって、症状を改善し、日常生活に支障なく過ごせるようにすることは可能です。
治療法や生活習慣の改善によって、症状が改善するまでの期間は個人差が大きいです。
一般的には、数ヶ月から数年 かかることが多いです。
また、症状が完全に消失するのではなく、ある程度改善して安定する というケースも多くあります。
いずれにしても、男性更年期障害は、適切な治療や生活習慣の改善によって、上手に付き合っていくことができる病気です。
症状に悩んでいる方は、一人で抱え込まずに、早めに医療機関を受診し、医師に相談することが大切です。