甲状腺疾患
はじめに
私たちの首の前面にある小さな器官「甲状腺」は、生命維持に不可欠なホルモンを生成する重要な役割を担っています。しかし、何らかの原因で甲状腺の機能が低下したり亢進したりすると、様々な症状が現れ、日常生活に支障をきたすことがあります。
甲状腺疾患の症状
甲状腺疾患の症状は、甲状腺機能の低下または亢進によって大きく異なります。
甲状腺機能低下症の症状
- 疲れやすい
- 寒がり
- 乾燥肌
- 便秘
- 体重増加
- 思考力・記憶力の低下
- うつ状態
甲状腺機能亢進症の症状
- 動悸
- 息切れ
- 手足の震え
- 発汗過多
- 体重減少
- 下痢
- 不眠
- イライラ
これらの症状は、他の病気によっても起こりうるため、甲状腺疾患であると断定するには、医療機関での検査が必要です。
甲状腺疾患の原因
甲状腺疾患の原因は完全には明らかになっていません。しかし、病気によってはある程度原因が判明しているものもあります。
たとえば、甲状腺の機能が亢進もしくは低下を示す甲状腺疾患として、バセドウ病や橋本病が知られています。これらは、自己免疫の異常が発症に関与することが推定されており、喫煙やストレスなどをきっかけに症状の悪化がみられることもあります。
また、甲状腺の機能が一過性に亢進を示す亜急性甲状腺炎と呼ばれる病気は、ウイルス感染をきっかけとして引き起こされることがあります。
さらに、甲状腺疾患には悪性腫瘍も含まれます。甲状腺の悪性腫瘍は、放射線照射を原因として引き起こされることがあります。
また、多発性内分泌腫症と呼ばれる病気で甲状腺の悪性腫瘍が家族性に見られることがありますが、この場合には生まれつきの遺伝子異常を原因として発症します。
甲状腺疾患の種類
甲状腺疾患には、主に以下のような種類があります。
- バセドウ病: 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気。
- 橋本病: 甲状腺ホルモンが十分に分泌されない病気。
- 亜急性甲状腺炎: ウイルス感染などが原因で甲状腺が炎症を起こす病気。
- 慢性甲状腺炎: 自己免疫疾患によって甲状腺が炎症を起こす病気。
- 甲状腺腫: 甲状腺が腫れる病気。
- 甲状腺癌: 甲状腺にできる悪性腫瘍。
甲状腺疾患の検査
甲状腺疾患では甲状腺機能の異常を示すことがあるため、血液検査を通してTSHやfree T4、free T3などの甲状腺関連のホルモンを測定します。(当院でも検査可能)
また、自己免疫疾患を原因として病気の発症が引き起こされていることもあるため、自己抗体の測定も検討されます。(当院でも検査可能)
クリニックの検査のみでは不十分と判断した場合や、早急に手術や治療が必要な場合にはすぐに専門の施設をご紹介いたします。
甲状腺疾患の治療
当院では薬物療法を行いながら、定期的に検査をしてフォローを行います。
気になる症状がある方は、お早めにご相談ください。