帯状疱疹
帯状疱疹(帯状ヘルペス)とは?
~原因、症状、そして適切な治療について解説します~
はじめに
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、体の一部に強い痛みとともに水ぶくれや発疹が現れる疾患です。この病気は、水痘(みずぼうそう)ウイルスによって引き起こされるもので、一度水痘に感染した後、ウイルスが神経に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化することで発症します。
帯状疱疹は痛みが強く、場合によっては神経痛が長期間続くこともあるため、早期の診断と治療が非常に大切です。このページでは、帯状疱疹の原因、症状、診断、治療法について詳しく解説します。
帯状疱疹の症状
帯状疱疹は、まず 痛み や かゆみ から始まり、その後、 発疹や水疱 が体の一部に現れるのが特徴です。典型的には、 体の片側 にのみ症状が現れ、左右対称にはなりません。
帯状疱疹の主な症状
強い痛み
帯状疱疹の初期症状として、皮膚に現れる発疹の前に強い痛みが生じます。痛みは神経に沿って現れ、刺すような痛みや焼けるような感覚を伴います。
発疹や水疱
痛みが出始めてから数日後、赤い発疹や水ぶくれが体の片側に沿って帯状に現れます。水ぶくれは次第に破れてかさぶたを形成します。
かゆみ
発疹や水疱は強いかゆみを伴うことがありますが、無理にかくことで二次感染を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。
全身症状
倦怠感、発熱、頭痛、筋肉痛など、風邪のような全身症状を伴うこともあります。
神経痛(帯状疱疹後神経痛)
発疹が治った後も、長期間にわたって神経痛が続くことがあり、これを 帯状疱疹後神経痛 と呼びます。特に高齢者では、この神経痛が深刻な問題となることが多く、治療が長引くことがあります。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹の原因は、 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)です。このウイルスは、水ぼうそうの原因でもあり、水ぼうそうが治った後も神経節に潜伏し続けます。年齢やストレス、病気、疲労、免疫力の低下など、何らかの理由で免疫力が弱まったときにウイルスが再活性化し、帯状疱疹として発症します。
帯状疱疹は 50歳以上 で特に発症しやすく、 高齢者や免疫抑制状態 の人がリスク群です。また、疲労や強いストレスも発症の引き金となることがあります。
帯状疱疹が発症する主な要因
加齢による免疫力低下
高齢になると免疫機能が低下しやすく、それに伴い帯状疱疹を発症するリスクが高まります。
ストレスや疲労
強いストレスや長期的な疲労は、体の免疫系に負担をかけ、ウイルスの再活性化を引き起こします。
病気や薬物治療による免疫抑制
免疫抑制剤や抗がん剤の使用、HIV感染など、免疫系が弱まる病状の患者では、帯状疱疹が発症しやすくなります。
過去に水ぼうそうに感染していること
帯状疱疹は、水ぼうそうを経験した人にのみ発症します。一度水ぼうそうを患った後、ウイルスは体内に潜伏し続けるため、発症リスクはその後も残ります。
帯状疱疹の診断
帯状疱疹の診断は、典型的な痛みと発疹の出現により比較的容易に診断できます。しかし、発疹が出る前の痛みだけでは診断が難しい場合もあるため、痛みの位置や程度に注目し、以下のような検査が行われることもあります。
診断方法
問診と視診
患者の症状や発疹の位置を確認し、帯状疱疹であるかどうかを判断します。痛みが体の片側に沿って帯状に現れるかどうかが診断の大きなポイントです。
血液検査
免疫力の低下が疑われる場合や、合併症のリスクを確認するために血液検査を行うことがあります。
ウイルス検査
必要に応じて、発疹からウイルスを採取して検査を行い、水痘・帯状疱疹ウイルスの存在を確認します。当院ではその日に結果をお伝えできます。
帯状疱疹の治療
帯状疱疹の治療では、早期の診断と適切な治療が重要です。発症後 72時間以内 に抗ウイルス薬を開始することで、症状の進行を抑え、重症化や後遺症のリスクを軽減することが可能です。
主な治療法
抗ウイルス薬
アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどの抗ウイルス薬が処方されます。これにより、ウイルスの増殖を抑え、症状の悪化を防ぎます。特に発症から3日以内に治療を開始することが望ましいです。
痛みの緩和
帯状疱疹による痛みは非常に強いため、鎮痛薬の使用が必要になることがあります。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や、より強力な痛み止めが処方されることもあります。
帯状疱疹後神経痛の治療
症状が長引く場合や、帯状疱疹後神経痛が発生した場合は、神経痛専用の治療薬(抗うつ薬、抗てんかん薬など)が処方されることがあります。
皮膚のケア
発疹や水疱が感染しないよう、患部を清潔に保ち、必要に応じて軟膏を使用します。かさぶたが自然に取れるまで無理に触らないことが大切です。
帯状疱疹の予防
帯状疱疹は、ワクチン接種によって予防することができます。 帯状疱疹ワクチン は50歳以上の人に推奨されており、免疫を強化して発症リスクを軽減します。また、万が一発症した場合も、症状が軽く済むことが期待できます。
予防策のまとめ
ワクチン接種
帯状疱疹ワクチン(シングリックスなど)は、高い予防効果があり、特に50歳以上の人には有効です。
大田区在住の50歳以上の方は区から助成を受けることが可能です。シングリックス、ビケンともに当院で接種可能です。詳しくはコチラを御覧ください。
免疫力の強化
規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動を心掛け、免疫力を保つことが重要です。ストレス管理も、発症リスクを減らすための大切な要素です。
帯状疱疹の合併症
帯状疱疹にはいくつかの重大な合併症が存在します。
帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹の痛みが数か月から数年続くことがあり、特に高齢者では深刻な問題となります。
顔面神経麻痺
顔に帯状疱疹が発生した場合、顔面神経麻痺(ベル麻痺)が起こることがあります。目や口が閉じにくくなるなどの症状が見られます。
視覚障害や聴覚障害
目や耳の周囲に帯状疱疹が発生した場合、視覚や聴覚に障害を引き起こすことがあります。
まとめ
帯状疱疹は、免疫力の低下やストレスが引き金となり、強い痛みとともに現れる疾患です。早期の治療が重症化を防ぎ、帯状疱疹後神経痛などの合併症を予防するためには非常に重要です。また、ワクチン接種により、発症リスクを軽減することができます。痛みや発疹が見られたら、早めに医師の診察を受け、適切な治療を受けましょう。